美顔ボイストレーナーの日常。by鳥山真翔

話題の『美顔ボイトレ』!!数々の著名人の声を変えてきた鳥山真翔によるブログです。

【エッセイ】耳くそがネバネバしている

小学校五年生の夏休み。

僕は自転車で十五分ほどの塾に通っていた。

 

夏期講習は週に5日、一日にお昼を挟んで5コマという、

夏休みになった実感を全く持てないスケジュールに嫌気がさしながらも、

 

来たる中学受験へ向け、通った。

 

もちろん気が進むわけもなかったが、

親に、

 

「この夏期講習のお金で車が一台買えるのよ」

 

と子供には計り知れない嘘で脅され、

 

 

お母さんは車を一台買えるくらいのお金を、

僕の未来につぎ込んでくれているのだ!!

 

と、純粋な僕は文句も言わず通い続けた。

 

 

しかし、相変わらず内向的な僕は、

お昼のお弁当の時間も、

誰とも喋る事も出来ず、友達ができるわけもなく、

塾に行く目的は、

 

和気藹々楽しそうな他の子とは違い、

ただひたすら授業を聞くことのみだった。

 

 

国語、算数、理科、社会、

僕の志望校は4教科で受験だったので、

全部の科目を受講していたが、

 

 

唯一面白かったのが、国語だ。

僕は子供の頃から、文章を読むことが好きだった。

 

テストの時間も、

国語だけは、文章問題で、

一つのストーリーを読むことができるので、

 

趣味と娯楽を兼ねて受けることが出来て、

大好きだった。

 

夏休みまでやたら忙しい小学生だったが、

その国語の時間だけが

、僕の唯一の、夏休みだった。

 

 

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国語の先生が、また、面白かった。

千原ジュニアにそっくりな先生だった。

 

おそらく20代だった思うけど、

今思い返せば、文章に対しての考察力があり、

よく頭の切れる先生だったと思う。

 

先生はよく、雑談をしてくれた。

授業が横道にそれることは大っ嫌いだったけど、

先生の雑談は好きだった。

 

 

 

 

ある日の授業で、

古文をやった。

 

その文章で、渡来人(とらいじん)の話になった。

 

広義では、昔、

海外から日本に渡ってきた全ての外国人を、

渡来人と呼ぶのだろうが、

 

その文章での渡来人は、

よくある意味で、

中国大陸から来た人、朝鮮半島から来た人、

のことを主に指していた。

 

先生はその渡来人の説明の際、

得意げに、

 

「みんなの先祖が、渡来人なのか、

縄文人(もともと日本にいた人)か、

すぐわかる方法があるんだぜ」

 

と言い出した。

 

「えー!気になる!!」

 

と周りがざわつき出した。

 

僕は人権侵害じゃないのかな?

と、小学生ながら冷ややかに見守った。

が、自分のルーツには、やはり興味があった。

 

 

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「耳クソが、白くてパサパサしてる人!!手上げて!!」

 

と言われた。

 

クラスには20人ほどいたが、

 

僕と、僕の隣に座っていた眉毛の太い女の子、

以外の18人が手を挙げた。

 

白くてパサパサが、僕にはよくわからない。

白くてパサパサした耳クソなんて見たこともなかった。

 

それは、僕には大きな大きな衝撃だった。

 

「今手を挙げた人、渡来人です。」

 

と先生が言った。

またもや衝撃が走った。

みんな外国人なのか!?と。

 

そして、

「マナトと、○○は、ネバネバしてるでしょ」

 

と言われた。

 

僕は恥ずかしくてシカトしていたが、

となりのゲジ眉女子は、恥ずかしげもなく、

 

「うん、ウチ、黄色くてネバネバ〜」

 

と言った。

先生は、

 

「マナトと、○○は、縄文人が先祖だね」

 

と言った。

その場であからさまなマイノリティだったため、

仲間外れにされたような、

でも、日本人が先祖と言われて、安心したような、

そんな感覚だった。

 

 

注※諸説ありすぎるのであくまでエッセイとしてお読みください笑。

 

 

弥生人(渡来人)が祖先か、

縄文人が祖先か、が、

耳クソでわかるというトリビアを、

自慢げに話す先生と、

 

それで盛り上がる子供達の中で、

 

僕は、大人になり、

20年以上経ってもまだこの授業を覚えているぐらい、

この授業に、大きな違和感を抱いたのだ。

 

 

人種の話で

ケタケタ笑う笑い声に、

僕は塾に行くことも、

 

大好きな先生の授業にも、

その心を一気に閉ざしたことを忘れない。

 

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先日、関西圏の情報番組にて、

性軽視ともとれる企画を放送し、

コメンテーターの方が激怒、

 

謝罪をするというニュースがあった。

 

ツイッターで流れてくる映像をみれば確かに、

 

「この人は男でしょうか?女でしょうか?」

 

という企画で、

そのインタビュー内容や、お笑い芸人の人の笑いの取り方は、

あからさまな人権侵害だった。

 

 

 

 

僕は最近思うことがある。

人権ってなんなんだろう。

 

僕の彼は在日韓国人である。

彼はいつもそう説明をする。

 

「在日」という言葉も、

必要あるのだろうか。

なんだか、日本人が偉そうに聞こえる。

 

在日アメリカ人とか在日イギリス人とか、

そんな言葉はなかな聞かないのに、

なぜ韓国人や中国人に在日、とつけるのだろう。

 

 

じゃあ、例えば僕たちがアメリカに行った時に、

『Japanese in America』

とかわざわざ言う人はいるのだろうか。

 

そんなわざわざ

「俺らの国だぜ」なんて、

自己顕示、そして他人を制圧をするような言葉使うのは日本人だけだと思う。

 

古い文化だ。

みっともなさすぎる文化だ。

 

 

男だとか女だとか確認して笑いを取れる文化も、

なんだかよくわからないし、

 

『そもそもの遺伝子』に優劣をつけて笑いを取るということは、

言語道断だと僕は思う。

 

むしろ笑えない。

 

 

 

 

ただ、ひとつだけ言えるのは、

 

僕は耳クソがネバネバしている。

それは事実だ。

 

遺伝子検査をして、

僕の先祖が100パーセント日本人だと分かったとして、

 

僕にはなんのロマンも、なんの喜びも感じない。

 

 

ただネバネバしていて、

風呂上がりに厄介なことだけだ。

 

 

そこになんの誇りもない。

 

 

 

 

僕の耳クソはただ、ネバネバしている。

 

 

 

 

 

 

 

鳥山真翔

 

 

 

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美顔ボイトレ 声を出すたびに美しくなる

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